薄いシート状の材料を、等高線どおりに切って重ねて貼り合わせていくと、地形の起伏を再現した積層型の立体地図が作れます。
山の勾配や、地形の特徴が実感できます。
立体地図(積層模型)材料 | コメント | |||||||||||||||||||
(mm) | ||||||||||||||||||||
1 | 普通紙・画用紙 | ◎ | ◎ | × | ○ | △ | ○ | ○ | △ | △ | ○ | ◎ | 0.05〜0.3 | ○ | ◎ | ◎ | △ | × | × | 1枚が薄いので積み重ねが大変。 超マニア向け。 |
2 | 厚紙 | ○ | ○ | × | ○ | ○ | △ | △ | △ | △ | △ | ○ | 0.5〜3.0 | ◎ | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | 意外とカットが大変。 怪我に注意 |
3 | スチレンペーパー | ○ | ○ | ◎ | ◎ | × | × | ○ | △ | × | × | ◎ | 1.0〜5.0 | ◎ | ○ | ○ | ○ | ○ | ◎ | 熱線カッターがあれば最良。 水性塗料では色が乗らないので注意。 |
4 | スチレンボード | ○ | ○ | △ | ○ | ○ | △ | ○ | △ | △ | × | ◎ | 1.0〜20.0 | ○ | ○ | ○ | ◎ | ○ | ◎ | じっくり作れば高品位のものが作れる。 スチレンペーパーの両面に紙を貼ったもの。 |
5 | ダンボール | ○ | △ | × | ○ | ○ | × | × | × | △ | △ | △ | 3.0〜8.0 | ◎ | × | △ | × | ◎ | △ | 大きな模型をざっくり作る場合には有効。 石膏などを掛ける仕上げ方法も有効。 |
: 張り合わせ用接着剤は、接着面の広さなどに応じていくつかの種類を使い分けると良いです。
弊社では厚さ0.3mm程度の薄いプラスチックフィルムなどを専用の機械で自動カットし、1枚1枚積層して作ったり、普通のコピー用紙を全自動でカット&積層接着するRP装置を導入しております。 また、特殊な例ではシート状の素材の代わりに特殊石膏の粉を使う3次元プリンタ(立体プリンタ)を使ったり、1枚の厚い板から不要部分を削り取って地形模型を作成する地形模型作成装置を開発し、活用しております。 |
●制作方法、制作アドバイス、実制作のお手伝いなどにつきましてはこちらをご覧ください。
*用意するもの
材料:[1]台となる板= 一番下になる台板です。
ベニヤ合板など ホームセンターなどで購入でき、お店によっては適切な大きさにカットしてもらえます。
これがないと立体地図を作っていくうちに、材料や接着剤の乾燥によって、立体地図が反ってしまうことが多いです。
[2]厚紙 または スチレンボード または スチレンペーパー
=1枚1枚を重ねていく、立体地図の一番大事な材料です。
製作する立体地図の大きさ、目的などに合わせて、適切な素材を選びます。
[3]糊 または 接着剤
=それぞれの等高線ごとにカットした材料を張り合わせていく時に使います。
立体地図の材料にあったものを使います。
[4]地図:製作範囲をカバーした地図が必要です。
必ず等高線が記載されているものをご用意ください。
[5] 絵の具、サインペン、マーカーなど:
仕上げに、立体地図の高さごとに色分けして塗装したり、川や湖や海などを塗ったり、街や鉄道や道路や県境などを書き込むときに使います。
立体地図の材料に合った塗料などを使いましょう。
*あるとよいもの。。。
テプラ
など:
テプラなどを使って地名プレートを作り、立体地図上に配置すると、立体地図の仕上がりがぐんと引立ちます。
透明アクリル展示ケース:
手芸用品や模型用品のお店などに売られている、アクリル透明カバーケースです。
手づくりの立体地図も、市販の透明カバーケースに入れると、とてもかっこよく見えます。
また、ホコリよけになりますので、長く飾っておくことができます。
画材用品店では、厚みのあるものを壁にかけて展示できるような、奥行きのある額縁が売られていることもあります。
気に入った方法で、手づくりの立体地図を飾ってみてください。
(1)製作したい範囲を決める
地図で、どこからどこまでを立体地図にするかを決めましょう。
欲しい範囲よりも、少し余裕を持って範囲を決めた方が仕上がったときに分かりやすいものになります。
欲張ってあまり広い範囲を作ろうとすると、欲しいエリアの地形の起伏が少なくなって分かりにくくなることがあります。
立体地図にしたい目的を考えて、適切な範囲を選択しましょう。
(2)製作したい大きさを決める
どのくらいの大きさの立体地図を作りますか?
手のひらサイズの小さなものを精密に作りますか?
大きなもので、分かりやすく作りますか?
小さい方が材料費もかかりませんが、細かい作業になりますのでかなり根気が必要です。
大人数で作るような場合にはA3サイズからA1サイズくらいのものがお勧めです。
(3)地図を用意する
立体地図を手づくりするには「等高線」が記載されている地図が必要です。
必要な範囲が含まれている地図を用意しましょう。
国土地理院の地形図を利用することが多いようですが、険しい山岳地を含むような場合には等高線が密になりすぎ、 製作の難易度が高くなり、初めての製作で はかなり難しい作業になってしまいます。
最初は、簡単すぎるかな?と思われる程度にデフォルメされた地図のほうが製作しやすいです。
適切な地図を探すところから立体地図作りが始まっています。
(4)シート材料(厚紙、スチレンペーパー等)1枚分の標高差を決める。
まず、一番高い部分(山頂等)と、一番低い部分(谷底等)を探しましょう。
そこから標高差を調べ、地図の縮尺から、出来上がりの立体地図上での高低差を求めます。
これをシート材料の厚さと計算して、何枚積み重ねるかを決め、1枚分の標高差を決めます。
欲張って枚数を多めにすると仕上がりは良くなりますが、労力、時間、費用すべて大幅に増えます。
枚数を2倍にすると仕事量は4倍にぐらいの感覚です。
慣れないうちは厚めのシート材料を使って、少ない枚数で作ることをお奨めします。
(5)写し取る等高線を決める。
等高線の本数を数えます。または、等高線間の表している標高差を調べます。 (→よくわからない人はこちらをクリック)
これと(4)で決めたシート材料1枚の標高差を勘案して、写し取る等高線を決めます。
当然、すべての等高線を使うとは限りません。1本おき、2本おきの方が却って良い場合もあります。
水平方向の縮尺と、高さ方向の縮尺をそろえると(1:1)、案外のっぺりした仕上がりになり、立体感が感じられないことがあります。
立体地図の使用目的に合わせて、高さ方向を強調(1:1.5なり1:2なり)してみると、迫力のある立体地図になります。
(6)シート材料に等高線を書き込む
等高線をトレーシングペーパーに写し取り、直接シート材料に貼るか、カーボン紙などを使って転写します。
最近ではコンピュータなどを使ってこの工程をおこなうこともあります。
地道な作業になりますが、仕上がりに直接影響します、丁寧に作業しましょう。
OHPプロジェクターや、ライティングデスクなどあれば、活用次第で作業が楽になります。
(7)シート材料を等高線通りにカットする
シート材料をカッターナイフなどの素材に合った方法で順にカットしていきます。
スチレン素材のシートは熱線カッター(ヒートカッター)があればさらに効率的です。
カッターナイフを使用する場合は、テーブルなどを傷つけないように、捨て板を敷きましょう。
普通の事務用のカッターナイフの他にも、デザイン用のカッターナイフなども市販されています。
材料にあったもの、また、等高線のカーブに適したカッターナイフを選びましょう。
カッターナイフの刃が切れなくなっていると、きれいにカットできません。
刃を交換するなどして、作業しやすい状態で使いましょう。
シート材料の断面が、積層模型の見栄えに影響します。
丁寧に、等高線に沿って、切り口の断面がきれいになるように心がけながら慎重にカットしましょう。
もちろん、怪我に注意してください。
等高線の外側は不要です。外側は大まかに切り落とし、等高線に沿う部分は念入りにカットしましょう。
一度にまとめてあちらこちらをカットするとどの部分のパーツなのか分からなくなることがあります。
高さごとにまとめたり、裏面に番号や記号などを書き込んで、部品が混ざったりなくなったイすることが無いように注意して作業を進めましょう.
(8)標高の低い方から順に重ねて接着していく
接着剤や糊の説明書をよく読んで、しっかりと接着していきましょう。
接着の方法が悪いと、いつの間にか剥がれてしまって、山の上の方のパーツがなくなってしまうことがあります。
また、剥がれかけて隙間が開くと、立体地図としての見栄えが悪くなります。
しっかりと押さえたり、重しを載せたりして確実に張り合わせていきましょう。
標高の高いほうから接着していくと、途中で材料が反ってきてしまい、最後に台板に接着できなくなることがあります。
標高の低い方から順に接着していくのがコツです。
慣れてきたら、仕上げの塗装を考えて5段毎とか10段毎に色を変えて塗装できるように仮接着しておくと、段差ごとにきれいに塗りわけができます。
初めのうちは、きちんと積み重ねていくことに慣れるのが大切です。
(9)塗装する
使用目的に合わせて塗装していきます。
一般的には一定の標高差ごとに色分けしていきます。同系色で濃淡の差を使って高低を表現することが多いようです。
平野部は緑系、山岳部は茶系と分けてあるものも多いようです。
自治体ごと、街区ごとの色分け、土地の利用状況ごとの色分け等々、目的に合わせて塗装していきます。
(10)仕上げの塗装
川や海や鉄道、道路、田んぼ、畑、。。。 好きなように記入していって、立体地図を完成させましょう。
目的によってはテプラなどで地名、施設名、土地の利用現状なども書きこみます。
観賞目的なら山を雪景色にしたり、航空写真を参考にジオラマ風に仕上げたり、工夫次第です。
最後に透明ラッカーなどで全体を塗れば、見栄えも良くなり、完成品の保護にもなります。
(11)オプションで、手プラなどで地名のシールを作って積層模型上に配置すると、とても見栄えが良くなります。
(12)完成
1. 小学5年生の地域学習として学区域の積層地形モデルの製作を訪問指導レポート
2. 地域学習グループによる、地元の河川流域積層立体地図製作
3. ■番外編■ 市販の積層模型製作レポート (ただいま製作中)
==レポートのご報告がいただけましたらこちらのコーナーで紹介させていただきます==
通常の積層立体地図の製作においては、切っていく等高線の外側は不要になり、内側はすべて、上の部分の下敷きで見えません。そもそも積み重ねていく段数だけシート材が必要です。
下敷きになってしまう内側の部分から、さらに標高の高い部分を切り抜き利用できれば、ゴミとなる不要部分は、ほぼなくせます。
当然、1枚のシート材から切り取っていくと、糊代も無く積み重ねられません。
そこで、等高線を1本分づつずらして写し取った、3枚のシート材(場合によっては4、5枚)を用意して、これを切り抜き、積み重ねることで、適度な糊代を確保します。
これによって、完成品の外観を損なうことなく3枚のシート材だけで立体地図をつくることが出来ます。
用意する物
基本的には通常の積層立体地図と同様です。
@ 台板
A シート材:3枚〜5枚(次の項では3枚使用時の作り方を説明します。)
B 糊、接着材類
C 塗料、筆記具類
D 地図:この方法の優れた特徴のひとつは地図を直接シート材に貼り付け、そのまま、積層立体地図に仕上げることが可能だということです。
これによって、等高線の写し取り、塗装、必要な情報の書き込み・・・すべて不要になり、立派な立体地図となります。
しかも使用する地図は3枚ですみます。
さらにシート材に直接、地図を印刷、利用できれば驚くほど品質の高いものが出来ます。
これについては応用編(2)で実物例を挙げています。
作り方
まず、製作したい範囲、大きさ、高さの倍率など、通常の積層立体地図と同様の下準備をします。
[1] シート材に等高線を書き込む
シート材3枚をA、B、Cと区別します。
地図の等高線を低いものから順にA、B、C、A、B、C・・・と振り分け、A1、B1、C1、A2、B2、C2、A3、B3・・・とします。
Aに振り分けられた等高線はAのシート材に、BはBに、CはCに書き込みます。
:このとき余裕があれば、3枚とも隣の等高線まで書き込めば積み重ねるときの目安になります。
右の写真では、等高線以外の道路や川なども印刷してあります。
[2] 等高線に沿って切り抜く
Aのシート材の等高線A1を切っていき、つぎにA2を切ります。
注意:このとき等高線の切り口の内側は勿論の事、外側も切りすぎ、切り落としなど無い様、細心の注意が必要です。
これでクネクネ蛇行した等高線3本分の幅の帯が出来ます。
これをa1とします。続けてA3を切ると帯a2が出来ます。
以下A4、A5・・と切っていくとa3、a4・・・が出来ます。
同様にBのシート材からbの帯を、Cのシート材からcの帯を切り抜きます。
:ここで通常、Cのシート材の等高線C1の外側が一番標高の低い面を表わしています、丁寧に扱ってください。
これをc0とします。不要になるのはA1、B1の外側だけです。 (細かい部分の紛失などに備えて、最後までとって置きましょう。)
注意:切り抜いた帯は必ずa1、b1など裏に書き込みを入れ管理しましょう。また、非常に細くなる部分もあり、折れたりねじれたりします。取り扱い注意です。
[3] 標高の低い方から順に重ねて接着
台板にc0を貼り、その上にa1、b1、c1、a2、b2・・・と順に重ねていきます。
糊代が充分とはいえない細い部分もあります。
また、少し力を入れただけでねじれたり、ずれたりします。
丁寧に、慎重に作業します。
:急峻な斜面の多い地形ですと、切り抜いた帯が細くなり糊代が取れない場合もあります。
地形に合わせて用意するシート材を4枚、5枚と増やして作ります。 作り方は同じです。
注意:出来上がりは中空構造になります。積み重ねている最中から押さえたり、衝撃を与えたりには弱い構造です。見えない裏側に補強を入れる等工夫が必要です。
[4]積み重ね、接着が終わったら塗装して完成です。
仕上げまで気を抜かないように作業しましょう。
通常の立体地図より軽く仕上がるのも利点のひとつです。
積層立体地図 完成!
※応用編(2)で紹介している製作実例は、全てこの方法の応用で製作しています。
●制作方法、制作アドバイス、実制作のお手伝いなどにつきましてはこちらをご覧ください。
※積層模型で立体地図を作成する場合に、コピーなどを取ると地図の著作権を侵害することがあります。
また、国土地理院発行の地形図などは測量法により無断での複製は禁止されています。 注意しましょう。
●制作方法、制作アドバイス、実制作のお手伝いなどにつきましてはこちらをご覧ください。