山の高さ表記について 本文へジャンプ

一般に、山の高さは国土地理院発行の地形図には正しく記載されていると思われがちですが、地形図に出ている標高値と実際の山の高さは数メートル程度異なっていることがあります。


「国土地理院発行の地形図」というアリガタイお題目に、誰しも地形図に表現されている内容を疑うことは少ないかもしれないです。

また、登山などで山の高さを気にする人たちが好んで地形図を利用していることも一因でしょうか。。。

右の写真で山頂の標高は1111.8mと記載されています。
山頂の標高碑
右の地図のように、山の名前のすぐ近くに高さを示す数値が記載されているので勘違いしやすいようです。
しかし、じっくり見ていただくとお分かりのとおり、標高が記載されているあたりには、黒い点や、四角形や三角形などが記載されていると思います。
これは三角点などを示す地図記号で、そのそばにある標高値はこの三角点の標高を示しています。

国土地理院の地図閲覧サービス(試験公開)より引用
地形図サンプル写真
始めの写真の、標高値を書いた柱の奥に三角点を示す四角い石が見えています。
地形図に記載されている標高1111.5mはこの石の上面の標高値です。 写真をよく見ると写真の左側はもう少し斜面になっていてこの三角点の石よりも左側が高くなっているのがわかるかと思います。 (実際に登ってみるとわかりますが写真をとった場所の方がもう少しだけ高いです。)

このように三角点は山頂を示すものではなく、三角測量の実施に都合のよい場所に置かれていますので、地図に記載されている三角点の高さは山の高さではないということになります。
山の最高点に三角点があればよいのですが、正しくは三角点の位置≠山の最高点であることに注意してください。

したがって、三角点が山の最高点に設置されていない場合には、山の高さは地図上に記載される三角点などの標高とは異なることになります。

したがって、この場合の飯士山の正しい標高は1111.8mとなります。
三角点の写真
別の場所の三角点の写真
(国土地理院の
ホームページから引用)
また、その他の要因として山頂にある石積みのケルンなどの人工物は山の高さとして認めないなどの諸条件もあります。

「山の頂上は、山体を構成する岩石圏の最高地点とする。樹木などの生物圏に属するものは、山体の一部とは考えず、また人工的建造物も山体の一部とは見なさない。 岩石圏としては、基盤岩石とその風化生成物、火山灰など天然自然の現象で堆積した未固結物質を含むものとした。」
(雪氷など固体水圏が常時山頂部に存在する場合には、その上に人間が立った場合に足の潜った位置の標高をもってその山の標高とするが、わが国にはそのような例はないと思われる。)

「日本の山岳標高一覧」より引用

右は、少々古い文献ですが、国土地理院から発行されている「日本の山岳標高一覧 −1003山−」(定価1,500円)という書籍です。上記のような理由から、地形図に記載されている標高値は山の高さとは異なっていることがありますので、ご注意ください。
日本の山岳標高一覧
2006-08-12 許可無く複製・転載を禁止します。 誤った表記などがございましたらご容赦下さい。

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